薺は幼少期に母に虐待されて育った。
父は人間、母は鵺。母は鵺として夜な夜な夫に隠れては都を荒らしていたが、知らずに夫をも殺めてしまい鵺姫は気が狂ってしまった。
そして自分を憎み、自分と同じ髪を持つ娘を虐待したのだ。
兄の鳳仙はそんな薺を連れて家を出た。
兄は葦原の将に、薺は兄の帰りを待っていたが独りぼっちの広過ぎる部屋は薺には寂しすぎた。神無衹(かんなぎ)・初雪(はつゆき)夫妻に次女の初(うい)が産まれてからは初に懐かれ、あまり寂しくはなくなった。人と関わりを持たなかった薺は初めて初に感謝した。
神無衹がシン・ユエイに対し謀反を起こした際には兄・鳳仙に続き、シン・ユエイ軍を次々と迎え撃った。
そこで翠珱・鵺千代と対峙するが、兄と初の為に戦う。兄の命により薺は一時戦線離脱するが、そこであろうことか兄の雷槍が薺を貫いた。
「黄泉で待っていろ、必ず迎えに行く」
と告げて。
薺は黄泉に堕ち、後に自分も戦死した馬鹿な兄と再会して夫婦となり八つの雷子を産んだ。